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そこで友里が真子に答える。 「それがさぁ、最近やたらと向こうから話しかけてくるんだよね」 「えーっ、それっていい傾向じゃん。きっと友里の事が気になっているんだよ」 「そうかなぁ? 自分になびかない女を振り向かせようとしているだけかもしれないよ?」 「またまたぁ、そこは素直に受け取ろうよ。せっかくのチャンスを逃がしちゃうよ」 「うん、それはそうなんだけれどさー」 その時、 「よっ、お二人さんおはようっ!」 拓が二人の傍に近づき挨拶をした。 その後ろから敦也も続く。 「おはよーう!」 敦也も二人に声をかける。 真子と友里も挨拶を返した。 その時拓が腰を屈めて真子の耳元でヒソヒソと言った。 「昨日、大丈夫だったか? 疲れなかった?」 その思いやりに、真子の胸がキュンとなる。 (長谷川君、優しい...) そして真子は答える。 「大丈夫だよ。逆に海に行って元気になった」 「そっか、それなら良かった。今日は絵の予備校ないんだろう? 帰りにカフェでも行かない?」 「うん行く」 そこで真子は閃いた。 「ねぇ、友里と敦也君も誘おうよ」 「えっ? まあ別にいいけど...」 若干気乗りしない様子で拓は返事をしたが、 それに全く気付いていない真子は、傍の二人に声をかける。 「二人も一緒に行こうよ」 その提案に、ノリノリで敦也が答えた。 「行きまーす。行かせて下さいっ!」 「友里は?」 「うん...行くよ」 「よっしゃ!」 友里が行くと答えたので、敦也が嬉しそうな声を上げた。 そんな敦也を見て、三人は同時に声を出して笑った。
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