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席についた真子に、隣にいた友里が聞く。 「長谷川君と一緒に来たの?」 友里はニヤニヤしている。 「違うわ。たまたま一緒になっただけ」 「なんだそっか。それよりも気分は大丈夫?」 「うん、今薬飲んで来たから大丈夫だよ、ありがとう」 真子はそう言って友里を安心させるように微笑んだ。 その時葛城が言った。 「じゃあ、今日は早速デッサンをやるぞー。受験で美大や建築科を受ける奴は、特に真面目にやれよ! 受験の実技ではデッサンの基礎力を見られるからな―」 そこで拓の隣にいた敦也が言った。 「拓は建築科を受けるんだろう? だったらデッサン真面目にやらなくちゃな」 「ああ、そうだな」 「夏期講習は美大受験の予備校に行くんだっけ?」 「ああ、デッサンだけ受講するつもり」 「そっかー、いよいよ俺達も受験かー」 「だな」 「ほらほらそこ喋ってないで、さっさとイーゼルの前に移動しろ」 葛城は喋っている二人を急かす様に言った。
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