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心配したコルネリアは、手を伸ばしてリシャールの頬に触れる。その瞬間、電流が走ったかのようにリシャールの肩が大きくビクリと震えた。
リシャールのアイスブルーの瞳が見開かれる。
「な、なにを……!」
「あっ、ごめんなさい。そんなに驚くとは思っていなかったの」
コルネリアが手を引っ込めたと同時に、リシャールがコルネリアから距離を置く。妙にぎくしゃくした動きだった。
「すみません、大げさに反応してしまいました。……確かに、気分が悪いかもしれません」
「そうでしょう? ちょっと人混みに酔ってしまったかもしれないわね。パーティーはわたくしに任せて、部屋に戻ったほうがいいわ」
「でも……」
「大丈夫よ。リシャールはきちんと皆さんにご挨拶ができたし、ここからはわたくしがなんとかするわ」
「……ありがとうございます」
リシャールは大人しく頷き、踵を返す。
華やかなパーティー会場を去っていくリシャールの背中を、コルネリアは心配そうに見送った。
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