突然の下命

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 そこで、幼い頃から際だって聡明な子供だったコルネリアは、いつピエムスタ帝国の皇帝になっても困らぬよう、あらゆる将来の可能性を見越して教育されてきた。語学にも長けており、エツスタンの公用語であるエツスタン語も堪能だ。  コルネリアはエツスタンの元王子の配偶者として、これ以上ないほどの人材だった。だからこそ、セアム三世はコルネリアを選んだのだ。 「お父さまのご期待に添えるよう、努力いたします」  コルネリアの了承を得て、セアム三世は満足げに頷くと、侍従を呼ぶ鈴を鳴らす。すぐに宰相たちがこの執務室に呼ばれ、コルネリアの縁談をまとめるよう指示がなされるだろう。  コルネリアは忙しい父の邪魔をしないよう、優雅に一礼すると部屋を去った。
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