皇女の騎士

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 コルネリアはフェルナンドの拳にそっと触れ、首を振った。 「大丈夫よ。きっと心が通じれば、愛はなくとも、家族になることはできるもの」 「しかし、それではコルネリア様の幸せが……!」 「フェルナンド、あまりお父さまの決定を悪く言ってはいけないわ。貴方は今、皇帝騎士団の騎士なのよ? 貴方の立場が悪くなってしまうかもしれないから……」 「親愛なるコルネリア様が不幸になるのを、指を咥えて黙ってみていろと言うのですか? ここに来られたということは、内心エツスタンに行くか、悩んでいらっしゃるということでしょう。コルネリア様は、悩み事があるといつもここにおいででした」 「…………」 「エツスタンはピエムスタ帝国の領土となっても、小癪にも未だにピエムスタ帝国に反抗している。そんなエツスタンが、この国の至宝たるコルネリア様を大事にするはずがないでしょうに! コルネリア様にもしものことがあったら、どうするのです!」
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