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突然の下命
ソロアピアン大陸で最も広大な領土を持つピエムスタ帝国の帝都トラルーラは、一年で最も輝くシーズンを迎えていた。
皇帝の居城、リドス宮殿の庭園の木々は鮮やかな赤や黄金に色づいており、白亜の城壁とのコントラストが美しい。澄んだ空は高く、雲ひとつない。心地よい爽やかな秋風が、中庭の回廊を歩く第三皇女コルネリア・ラムベールの豊かな栗色の髪を揺らした。
――こんな時間にお父様の部屋に呼ばれるなんて珍しい。きっと、大事な話なのね。
王の居室のある中央棟に早足で歩を進めるコルネリアの顔は、かすかに緊張している。
それもそのはず、コルネリアを呼び出したのは、尊敬する父であり、ピエムスタ帝国の皇帝セアム三世だった。彼はここのところ、先の戦争の処理で多忙を極めており、家族ですら謁見するのは難しい。皇后である母ですら、顔を合わせない日々が続いていると零していたほどだ。
そんなセアム三世からの呼び出しなのだから、おそらく重要な要件があるのだろう。
回廊を抜け、中央棟の階段をあがったコルネリアは、すぐに皇帝の執務室の重厚な扉をノックした。すぐに侍従が扉を開け、コルネリアは中に通される。
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