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朝
「そこ曲がったら櫻坂」略して「そこさく」は、テレビ東京でしか放送されておらず、東京以外の地域に住んでいる人達は長い間見られなかったらしい。どういう経緯でこうなったのか知らないけれど、ファンの立場からも営業的見地からも決して得なことではない。そこで、つい最近になって動画配信サービスLeminoにて「見逃し配信」が始まった。でも、それとてあくまで「見逃し配信」であって、リアルタイムではない。結果として、大阪だとどこからの情報が最も早いかというと、X。
そんなわけで遼太郎と自分は、Xに上がっていた短い動画で、櫻坂46の新曲「自業自得」のフォーメーションを知ったのでした。
フロントは二期生、田村保乃さん、守屋麗奈さん。
そして、そのセンターには、山下瞳月さん。
三期生初の表題曲センター。
涙をこらえながら必死にダンスの研修を受けていたデビュー前の三期生たち。その頃からずっと彼女たちを観ていたものからすると感慨深い。
遂に来たか。
たかがアイドルと馬鹿にするなかれ、まだ何者でもない彼女たちはまさしくダイアモンドになる原石だった。三期生11名の稀に見る個性と才能、魅力を見出していた運営はまこと、眼識だと思う。倍率にして4000倍。おそらくそのオーディションにおける選抜の厳しさは、宝塚にも引けはとらないはず。
「センターは愛李ちゃんだと思ったけどなあ、俺は」
遼太郎の推しは同じ三期生の谷口愛李さんだ。
実は彼女は普通の人間ではない。神様だということは遼太郎に教えられた。
「いや。自分は順当だと思ったよ。予想通り」
「そっか。でもどう?悔しくねえ?優ちゃんも愛李ちゃんも三列目」
村井優さんは、自分の推し。
その大きな目の力にやられた。
あとは、多分ご実家が家に近い。いわば地元推し。
「気にしないよ。多分、次か次か、その次か、愛李ちゃんも優ちゃんもチャンスはある。すぐだよ」
「そっか、次か次の次かその次。でも、俺、観られるかな、それ」
ん?どういう意味?
「あ」
突然立ち上がる遼太郎だった。どうした?
「急に腹が、減って来た」
そう言うと彼はカバンを手に取り180度回れ右。
「ではまた」
と言ってドアを開け、どこかに去って行ったのでした。これは、空腹の井之頭五郎だ。でも、こんな夜中にどこで何を食うつもりなんだろう。
自分は蕪人の方を見た。こいつは一度寝るとまず朝まで起きない。
そして。
寝直しをして、朝。
時計は6:50。
でも、窓の外のあの列はなんだ?
USJの開場時間は9時。なんでこんなに早く並んでいるんだろう?
なんだかわからないが、多分ちょっとは急がないといけない。
こうして、自分は蕪人を起こし、朝食のバイキングに向かったのでした。
今日はいよいよ、USJ。
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