10人が本棚に入れています
本棚に追加
生命の樹
内部への観覧は高校生以上720円、小中学生310円。要予約。
自分は11時きっかりの回に予約をしていたのですが、ちょっと早く着いた。10分前。ちょっと待つなあ、なんて思っていたらそのまま通してくれた。
「11時の回ですけど、いいんですか?」
「大丈夫ですよ。どうぞ」
と入口の係りの若い女性。こういうのちょっとうれしい。
大阪の人たちの対応って、東京に比べて若干肉厚というか、言葉に心があるというか、同じ言語を話す同じ日本、同じ都市でありながらパラレルワールドのように感じる。このことはこの三日間で随分感じたことだけれど、うまく書けるだろうか。
中に足を踏み入れると。
赤い照明に浸された様々な生命の世界。
真ん中に立つ高さ41メートルの大樹は「生命の樹」。
樹に張り付いているのは、三葉虫。
毛の生えた丸いのは太陽虫。
クラゲもいる。上の方に魚も見える。
でもスマホに残っている写真はこれ一枚。
追加料金500円を払って渡されるプラケースに入れてスマホを使えば、館内どこでも撮れることになっていたのだけど、ちょっとケチった。でも、一階部分はその制限はなかったので何枚も撮ったつもりだったのだけれど、今になってスマホの中を探しても写真がない。保存に失敗したらしい。
勿体ぶった挙句にオチをつけるつもりもなかったのですが。
さっき気付いた。
はあ。
なわけで、写真なしで。
「生命の樹」は、アメーバの状態から地球上の生物が進化していく様を一本の樹で表現しています。当時エスカレーターだった部分は、耐震上の問題から階段に付け替えられ、自分たちはその回廊を上りながら、生命の進化を辿るという趣向。
下部にどよめくアメーバ、ポリプなどの原生生物は、やがて三葉虫やアンモナイトに進化。魚類が生まれ、恐竜が現れ、マンモス、猿、そして、ネアンデルタール人、クロマニヨン人。
ミクロから昆虫、恐竜に至るまで生き物好きな蕪人はさっきから、見つけた生き物の名前を連呼している。
「べんもう虫だ」
「ほら。プテラノドン」
「あ。トラコドン」
「これは普通のゴリラ」
類人猿まで辿り着いた時点で、樹を見下ろすと壮観。
自分自身が生命そのものとして地球に存在してきたように、その生涯を眺めるかのような恰好。
岡本太郎はダイナミックだ。
そして、いつもいつも、彼の作品に触れた後ではなぜか元気が出てくる。
魂の奥深く、命そのものの部分を揺り動かされるような。
さっきまで盛んに喋っていた蕪人は、気付くと赤い光の中で黙って回廊の下を眺めている。
いい時間でした。
最初のコメントを投稿しよう!