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そ。と、一青に手を添えて、翡翠は優しく口づけをした。ちゅ。と、音をさせて、唇が離れると、おずおずと、出した舌で伺うように一青に触れた。
ん。と、小さなため息を漏らして、一青の身体が震える。
「いいよ。続けて?」
顔を見上げると、眉根を寄せてから、一青は言った。
その顔が最高にセクシーで堪らない気持ちになる。もっと見たい。そう思って、翡翠は今度は少しだけ大胆に舌を絡めた。
どうしたらいい?
どうしたら、一青はもっと喜んでくれる?
熱に浮かされたような頭で考える。翡翠を優しく抱いてくれた相手なんて殆どいない。だから、知っているのは一青のやり方だけだ。一青がしてくれた、翡翠が気持ちがいいと感じたことを返すしかできない。
必死で思い出す。
先端に口づけて。唾液で湿った舌で全体を舐る。それから、咥内へ迎え入れる。浅く、舌で反応がある場所を刺激しながら何度か出し入れを繰り返して、充分に固くなった来たら、喉の奥まで飲み込む。
咳き込むのを我慢するだけで精いっぱいだった。一青がしてくれるように上手くなんてできた気がしない。
それでも、怖いくらいに固くなっていたし、今にも限界が来そうなほど脈打っていた。
「ん……んむ。……んん」
感じてくれているのだと思うと、嬉しい。
もっと、気持ちよくなってほしい。
そう思と、我慢できなかった。
一青を咥内で育てながら、自分の後ろへ手を伸ばす。それから、ゆっくりと、一本。指を差し入れる。
「ん……ふ。……んんんっ」
中は驚くほどに熱かった。収縮を繰り返して、まるで、一青が欲しいと強請っているようだと思う。だから、すぐに翡翠は指を二本に増やす。気持ちがいいと知っている部分に指が触れると、びり。と、電気が走ったような快感。一度も触っていない前も、気付けば立ち上がり切って張り詰めていた。
「ふ……ぅん……ん。ん」
喉の奥まで一青を受け入れたまま、自分自身で自分の中を犯す。そんな倒錯的な快感におかしくなりそうだった。否、おかしくなっていたのだと思う。
もう、我慢の限界だった。
「……い……せ……も。……むり。ほし……」
口から吐き出したソレを手で扱きながら、懇願する。自分自身の中に収めた指は既に三本に増えていて、淫らな水音を上げていた。
「ん。いいよ。おいで?」
ぐい。と、翡翠の身体を抱え上げて、一青は浴槽から洗い場に出た。そのまま座った自分の上に翡翠を跨らせる。
「翡翠が入れてくれるんだろ?」
それも、約束だった。
今日は、全部翡翠がすると、約束した。
上手くできるとか、出来ないとか、今日はどうでもよくて、迷惑をかけたお詫びに、一青を命一杯甘やかしたい。そんなふうに思ったから、一青のおねだりを聞きたかった。
「頑張れる?」
少し心配そうに一青が言う。
こくり。と、頷くと、ちゅ。と、一青が唇にキスをくれた。それから、用意してあったはずのゴムに手を伸ばした。
「……いらない……」
小さく呟いて、翡翠は一青に手をかける。
「でも……」
中出しを強請っても、基本的に一青は応えてはくれない。契約の時は必要だったけれど、上手く処理できなければ身体に悪影響が出ると、心配してくれているのは知っていた。
だけど、どうしても欲しくなる時がある。
「やだ」
子供が我儘を言うように、ふるふる。と、首を横に振って、翡翠は強引に一青を自分の後ろに宛がう。
「何にも、邪魔されたくない」
そんな翡翠の言葉に、一青はあっけなく陥落したのだった。
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