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「俺、女の下着になんか興味ねえっすわ」
「なぜ女の下着だとわかる?」
「いや、勘弁してくださいよ。下着って聞きゃ、女のだと思うのが普通でしょ」
「へぇ」
「自慢じゃねぇけど、カネになんないもんを盗む趣味はないっすね」
ちっちゃな頃からワルガキで、窃盗傷害前科3犯。俺は真っ当に生きてきたわけじゃないが、変態扱いされるのはまっぴらだ。
「近所にねぇ、あんたが水曜の夜、外から帰ってくるのを見たって人がいるんだよねぇ」
「近所付き合いなんかしてないから、人違いでしょ。こんな無個性な一般市民、ゴマンといるんじゃないっすか?」
「じゃあ、あんたは水曜日の夜、この部屋から一歩も出てないんだね?」
ダミ声が聞き、若い方が手を止めてじっと俺を見る。
ここで相手を凝視するのも、目を逸らすのもダメ。俺は二人の襟元あたりを順に見て、ニヤッと笑ってみせた。
「たぶんね」
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