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2.
刑事たちを追い返した後、俺はスマホで事件を検索してみた。が、最近のニュースといえば政治家の汚職と地下アイドルが殺された事件ばかりだ。考えてみれば、下着泥棒なんか全国でしょっちゅう起きてるだろうし、地方紙に載る程度の扱いだろう。
「ったく、迷惑なんだよ」
変態行為はこの辺り以外でやってくれ。仕事がやりにくくて仕方ない。刑事に目をつけられている間は下見もできないから、俺はとりあえず昼飯を買いに行くことにした。
「クソまぶしいな」
晴天に顔を逸らすと、視界の端に怪しい男が映る。背後のブロック塀に隠れたのは、さっきうちに来た若い方の刑事だ。
尾行か。俺が証拠隠滅を図るのを期待しているのかもしれない。
下着泥棒なんかしてない、それを態度でアピールしよう。そうだ、鼻歌でも歌うか。
数日前から頭の中をループしているメロディが浮かんできた。歌詞は曖昧だが、鼻歌なら問題ない。
「ん〜ふ〜ふ〜、ん〜ふ〜ふ〜、んふふふ、んふふふ、ん〜ふ〜ふ〜ふ〜ふ〜んん〜♪」
犯人なら、刑事に尋問された後に鼻歌など歌えないだろう。ほれほれ、どうだ? 俺はこんな呑気に歌いながらお買い物に行くところだ。無実の男を尾行してる暇があったら、さっさと他を当たるんだな。
「んふ、んふ、んふ、ふ、ふ〜んふ〜♪」
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