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未知の感覚が怖くて、顔を起こし夕里の名を呼ぶ。やっと手を止めてくれた彼は覆いかぶさって、キスをしてくれた。
暑いと汗をかいていたのに、密着した上半身が温かくて気持ちいい。舌を吸われ、上顎をくすぐられ。甘いキスが追い風になって、柊を高みへと押し上げていく。
夕里の熱いペニスが下着越しに自分のものとぶつかりビクンと震えた。
こんなの……もう、これだけで。
「ん、ん〜っっ。ゆりくんっ、も、いきそう……っ」
「待って、挿れたい」
触れてもいない陰茎の先端から流れ出た涙が、臍に小さな水たまりを作っている。早くイきたい。頭の中はそればかりだ。
でも……できるなら、一緒に。
「……ひぇ」
「……あんま、見ないでください」
下着を取り払った夕里のペニスは堂々たる存在感で、柊はちょっと引いた。自分のものよりも赤黒くて、めっちゃでかい。イライラしたこめかみのように、血管がビキビキと浮いている。
夕里くん、恥ずかしそうにされても全然可愛くないです。
そこに黒色のコンドームが被せられ、さらに凶器感が増す。薄っすらと透けていればいいってもんじゃない。
柊は目を逸らした。あんなの、絶対に痛くて死んでしまう。自分は焦って、誤った決断を下してしまったんじゃないか……。
遠い目をする柊に、準備を終えた夕里が先端を窪みに押し当て、狙いを定めたまま嬉しそうに抱きついてきた。う……かわいい。けど、ガチガチに戦闘態勢だ。
「ひーらぎさんっ」
「ゆ、ゆりくん……」
「大丈夫ですから。信じてください……自分のポテンシャルを」
…………そこは「俺を」じゃないのか。
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