ケコケコパニック

1/1
前へ
/1ページ
次へ

ケコケコパニック

 久しぶりに兄ちゃんと散歩をしている。  大きな池の畔を夕方の涼しい時間にゆっくりと歩く。  ふと、兄ちゃんが急に立ち止まった。  なにかと思って視線の先を見ると、わりと大きいカエルがいた。たぶん、池に住んでいるやつだろう。  兄ちゃんが後ろを振り返って走り出す。カエルも素早く飛び跳ねる。  あっという間にカエルは兄ちゃんに追いついて脚にしがみついた。  兄ちゃんが儚げな見た目からは想像できない野太い悲鳴を上げてパニックになる。  手足をばたつかせて暴れる兄ちゃんをうまくいなしながら、カエルをつかんで思いっきり池の方へ投げ捨てた。  兄ちゃんは昔からカエルが苦手だからなぁ。  そう思いながら、べそをかいている兄ちゃんの頭を撫でた。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加