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カスミにはローブとフードを買ってやった方が良いかもしれねー。
俺は王都で金と女への欲望を顕にした連中の事を思い出していた。
ここもいつそうなるか解らねー。
「カスミ、ワタルとリョウを宿屋に置いたら防具屋へ行ってくるから、2人を頼む」
「え、ええ。解ったわ。センヤくんも、お願い」
『センヤくん…まるで私の心を読んでるみたい』
実際カスミに限らずそうなのだが何故そうなったかは俺にも解らねー。
俺達はグッタリしてる2人を宿屋のベッドに寝かすと、カスミに留守番を頼んで防具屋へ繰り出した。
「金を出せ!」
「キャアッ?!」
俺が防具屋でローブとフードを見繕っていると、短剣を手にした野郎が女の店員に詰め寄った。
他の客達は我先にと店の外へ逃げて行く。
店内にはあっという間に店員と強盗、俺の3人だけになる。
やれやれ。
面倒くせーが、俺がどうにかしなきゃならねー状況になっちまったじゃねーか。
俺は強盗の背後からそっと気配を消して素早く近付くと短剣を強盗の首筋に当てた。
『な…っ?!まだ客がいたのか…!』
自分の置かれた状態を理解したのか、強盗は短剣を落として両手を挙げた。
「命が惜しかったら早くここから去れ」
俺が冷たくそう言うと強盗はゆっくり短剣から離れて…一目散に店の外へ出て行った。
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