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時期が重なってるだけで単なる偶然って事も考えられる。
だが、死んだ両親の店を1人で守ってる店員に、そんな酷な事は言えなかった。
「…辛い事を思い出させて悪かったな」
「ううん…誰かに聞いてもらいたかったから…。悪い事は言わないわ。黒い宝石には気を付けた方が良いわよ」
確かに宝石を手にしてから、俺の周囲は一気に不穏になった気がする…。
「それで何が欲しいの?助けてくれたお礼にサービスするわ」
店員は涙を拭いて、気丈にも平静に戻った。
そうだ…カスミのローブとフードを買いに来たんだった。
「あれとあれなんだけどよ…」
『ローブとフード?この人、トレジャーハンターだって言ってたけど…』
「あ、因みに仲間の買い物を頼まれたんだ」
俺は取り繕う様に言った。
店員はそれに納得したのか売り場からローブとフードを持ってくる。
そして綺麗に畳むと紙バックに入れた。
「ありがとう。道中気を付けてね」
「ああ」
俺が紙バックを持って店の外に出ると。
『私、本当に口にしてたかしら…?』
そんな店員の声が聞こえてきて、足早に宿屋へと向かった。
「お帰りー!タモツー!」
俺が部屋に戻るとどうやら復活したらしいリョウが抱きついてきた。
「お帰り、センヤくん」
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