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『やはり思った通りですね…。でも先ずはセンヤくんの聞いてきた話も聞いてみませんと…』
ワタルの声が聞こえ椅子に座った俺に続いて隣にリョウも座ってくる。
だが、それには構わず俺は防具屋の店員が言ってた話を2人にした。
「ワタルくんの予想通りだねー」
「予想通り?」
「センヤくん。古代遺跡で見つけた宝はひょっとして黒い宝石では有りませんか?」
ワタルの言葉は問いかけではなく、確認だった。
ここまでくると、もう只の偶然とは思えず俺も大して驚かなかった。
「ああ。これだ」
懐から宝石を出す。
相変わらず魅惑的な輝きを放つ宝石を目にして、しかしワタルは眉を顰めた。
「この美しさに魅了される方達は多いですが…」
ワタルが調べたところによると黒い宝石は元々は古代遺跡の産物で持ち主に富や力を与えるらしい。
その与えられる力は持ち主の望みにより変化するという。
防具屋の店員親子の望みは、店の売り上げアップだったのだろう。
だが、始めは上手くいっていても、その内宝石の闇に取り込まれ持ち主本人だけでなく周囲にまでその悪影響を及ぼすという。
強奪も強姦も強盗も、そして挙げ句の果てには敵襲も、人間達の欲望や野心が表れたからではないか。
そして俺に与えられた力は人の心を読む力ではないか。
…というのが黒い宝石の力…影響であろうと言うのがワタルの調べた結果だった。
「センヤくんは、カスミさんの心を知りたいと強く望んでませんでしたか?」
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