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まさか…。
信じられねー思いで懐から宝石を取り出す。
声は宝石から聞こえてくる。
『ようやく気付いてくれましたね。タモツ・センヤ』
「あんた…話す事が出来るのか?」
『はい、私は黒き宝石。全ての者の希望を叶える物』
「ふざけるな!あんたのせいで何人の連中が傷付いたと思ってるんだ!挙げ句の果てには、世界を滅ぼす気か?!」
『とんでもない。私は人を傷付けたり、況してや世界を滅ぼすなど考えた事も有りません』
「じゃあ何故強奪や強姦、強盗、戦争が起きるんだよ!知らねーとは言わせねーぞ!」
『傷付いたり、世界が滅びるとしたらそれは全ての者の願いです』
「そんな馬鹿な願いがあるか!!」
話にならねー。
俺は思わず宝石を床に叩き付けた。
声は聞こえなくなったがカンッ!と軽い音を立てただけで宝石は少しも欠けたりヒビが入ったりしなかった。
コロコロと転がって寝室へのドアの近くまでいった時、遠慮がちにドアが開いた。
「センヤくん、大きな声出してどうしたの?」
「…いや、何でもねー」
姿を見せたカスミの目を見れずに俺は応えた。
『タモツ・センヤ…私は貴方と一心同体。いずれその意味が解るでしょう』
「うるせーっ!!」
「センヤくん?!ワタルくんから聞いたけど、又声が聞こえてきたの?」
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