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そういう俺にも宝を探してる訳があった。
俺達が根城にしてる王都が遺跡の近くにあるのだが、そこで俺はかつて怪盗として活動していた。
その時、偶然出逢った貴族の女…カスミ・モロハシに俺は密かに恋をした。
カスミは、盗みを働いて追われていた俺を自分の屋敷に使用人だと言って匿うと言った。
だが、カスミを巻き込みたくなかった俺は窃盗罪の時効成立まで王都を離れていた。
元々、住む世界が違い過ぎる2人。
カスミはもう俺の事は忘れて、貴族の良い男がいるのかもしれねー。
それでも、宝石が好きだったカスミに、俺は何か良い宝がないか、在ったら渡してー想いがまだあった。
「リョウ神父、睡眠欲が強いのでしたら、僕と先に王都に戻っていますか?」
「うん。タモツも今日はもう帰るでしょー?」
「いや、俺はもう少しだけ探索してく。後で王都で落ち合おうぜ」
「リョウ神父、センヤくんもこう言ってます。先に王都に戻っていましょう?」
「うーん…わかったぁ…ムニャムニャ」
リョウはもう半分夢の中だ。
トロンとした目で俺を見た後、デケー欠伸をして「じゃあ、タモツー。早く帰って来てねー…」と言い、ワタルに支えられる様に去って行った。
さて、探索の続きだ。
俺は暫く遺跡の中を歩き回った。
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