14人が本棚に入れています
本棚に追加
封印の代償
「センヤくんが…?」
ワタルも只ならねー状態を感じ取ったのか、その声は固い。
リョウは曲がりなりにも神に仕える奴だ。
予知夢…正夢…そうなる可能性も十分に高かった。
「リョウ神父。夢の内容を詳しく話して下さい」
リョウの拙い話を纏めると。
何でも宝石を封印するには条件がありその条件とは宝石に選ばれた生贄を共に封印しなければいけねーらしい。
その代償が俺の命だというのだ。
勿論、儀式を経て封印は成されるが、代償無しでは宝石を封印し続ける事は誰にも不可能だというのがリョウが見た夢らしい。
「回避する事は出来ないのですか?」
「タモツが助かった場合は他の誰かが封印の代償にならなきゃいけないみたいなんだ…」
どのみち犠牲は付きものという訳か…。
あの宝石はムカつく。
何より封印しなければ人間達の暗黒面な願望が全て叶えられ世界は混沌とするだろう。
だが、解っていても死ぬのはこえー。
さっきの不安と恐怖が明確なヴィジョンを持った気がした。
「ワタル、リョウ」
俺は全身を震わせながら震える声で言った。
「この事カスミには言うなよ」
「えー…でもタモツー…」
「絶対に言うな!言ったら殺す…」
「タモツー…!」
リョウは顔を歪ませるとシクシクと泣き出した。
最初のコメントを投稿しよう!