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ガラの悪い野郎が1人の爺さんに暴力を振るっていた。
どうやら金目当ての様だ。
「そ、そのお金は息子夫婦がくれた大切なお金なんじゃ…。持って行かないでくれ…」
「良いから出せって言ってんだよ!」
野郎は倒れている爺さんを蹴り付ける。
通行人達は皆我関せずで足早に歩き去っていく。
「タモツー…、怖いよう…」
怯えたリョウが俺にしがみ付いた。
と、その時。
「止めて!お爺さん、怪我してるじゃない!」
カスミがそう叫んで野郎と爺さんの間に立ち塞がった。
「よせ!カスミ!」
俺はカスミを引き止めようとしたが、リョウを引き剥がした為、一瞬遅れた。
「ん?その声、お前、女か?丁度良い。俺と一緒に来い!」
野郎はターゲットを爺さんからカスミに変えると嫌がるカスミの腕を無理矢理掴んだ。
『カスミヲタスケタイ』
その瞬間懐の宝石が熱を持ったかと思うと、俺は頭の中が真っ白になった。
「止めて!センヤくん!やり過ぎよ!」
カスミの悲痛な叫びにハッと我に返ると、野郎は傷だらけのボロボロになって地面に倒れていた。
俺の利き手には短剣が握られ、血が滴り落ちている。
野郎の傷はよく見るとワザと致命傷にならねー様に刺し傷ではなく切り傷ばかりだった。
俺、一体何をしたんだ?
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