封印の代償

6/10
前へ
/39ページ
次へ
「あ、ああ。俺もそう思う。カスミにリョウ、怖い思いをさせて悪かったな…。俺、野郎を傷付けた記憶がねーんだ」 部屋に来て鏡を見たら返り血まで浴びていた。 リョウが逃げ出したくなるのも解る位ゾッとしたのを鮮明に覚えている。 「やっぱり…。センヤくん、センヤくんじゃないみたいだった…」 「タモツー♡」 「ワタルの方は何か首尾があったか?」 ワタルの表情が曇った。 「代償の要らない封印の仕方については残念ながら…。やはり儀式をした上で宝石と共に封印される様です。力が及ばす申し訳ありません…」 ワタルの眼鏡の奥の瞳に光るモンを見た様な気がした俺はワタルをそっと抱き締めた。 「センヤくん?」 「ワタルの気持ちは解ってる。サンキューな、ワタル」 「センヤくん!」 ワタルが啜り泣きし始めた。 「タモツー…!やっぱり死んじゃヤダよう!」 リョウも泣きながら俺の足に後ろからしがみついた。 俺は皆を置いて逝かなけりゃならねー運命の前に悲しみと無力さを痛感していた。 と、カスミが眉をひそめて言う。 「ねえ…代償とか死んじゃヤダとか、何の話?」 しまった! カスミにはバラすなとか言っておきながら自分から中途半端にバラしちまった。 カスミには知られたくなかったが、こうなった以上カスミにも話すしかねーだろう。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加