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それが何日か経った頃だった。
まだ日中だってのに、空が暗くなり月が顔を見せた。
「どうなってるんだ?」
「月の神殿に近付いて来てるんだと思うよう。神殿の周りはいつも夜みたいなんだー」
勝手知ったる我が家のリョウが応える。
この辺りは僧侶のリョウにとっては庭みてーなモンなんだろう。
暫く歩くと神殿らしきデケー建物が見えてきた。
中に入ると、神官と思われる格好をした野郎共が出迎えた。
「皆ー、久しぶりー」
「これはリョウ神父!?悪しき気配を感じて来てみたのですが、我々の気のせいでしょうか?一緒にいるのは仲間の方達ですよね?」
「魔法使いのワタル・スズキです。初めまして」
「私はカスミ・モロハシです。えっと…う、占い師です!」
「俺はトレジャーハンターのタモツ・センヤ。あんた等が感じたのは多分これの事だろ?」
俺はそう言って懐から宝石を取り出した。
「こ、これは古代遺跡にあった筈の黒き宝石ではありませんか?!」
「何と不吉な…」
「一見、綺麗に見えるとは噂通りですな」
ザワザワとし始める神官達。
神官長らしき野郎が「静かに!」と注意をする。
説明がおぼつかねーリョウに代わってワタルがここまで来た経緯を神官達に説明する。
「そういう事でしたら、センヤさん。申し訳ありませんが、貴方と黒き宝石は、別室にて鍵を掛け監禁させて頂きます」
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