封印の代償

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神官長は「悪しき物がこの神殿に悪影響を与えない為です」と説得する様に付け加えた。 「僕の…僕達の大切な仲間だからね?乱暴な事はしないでね?」 「解っています。こちらです」 「ああ」 俺は神官長に案内される直前、3人を見渡した。 カスミとリョウは泣きそうな。 ワタルは思い詰めた目を向けていた。 これが一緒にいられた最期になるだろう。 俺は「大丈夫だ」という様に大きく頷くと神官長の後に続いた。 「こちらの部屋を狭いですがお使い下さい。儀式の準備が整いましたら迎えを寄越します」 俺が中に入ると、ドアの鍵を締めるガチャ…という音が無情にも耳にやけに響いた。 部屋の中を見回す。 小せーテーブルと椅子、ベッド、そして奥にもう1つドアが在るだけだ。 試しにドアを開けてみると便器と浴槽、洗面台があった。 監禁と聞いて拘束でもされるのかと思っていた俺には最期の時間を過ごすには、至れり尽せりな部屋に思えた。 俺はテーブルの上に宝石を置くとベッドに仰向けで横になった。 いよいよ、か…。 覚悟を決めて来た筈なのに俺の全身は小刻みに震えていた。 死ぬのがこえー。 だがこのまま生き長らえたとして、又いつ街での様な状態になるか解らねー。 それでもしカスミ達3人を巻き込んで傷付けちまう事があったら…俺は壊れる。
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