迫られた決断

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『1つずつ応えていきますね。先ず黒き宝石は物理的な力には強いですが、精神的な力には弱いです』 精神的な…力? 『欲望や野心を超えた普遍の愛、絆、勇気…。貴方が宝石からの力を失ったのも、その心に何かしらの力が備わったからです』 そうなのか? 『はい。宝石を壊すにはもうひと押し精神的な力が必要です。次に宝石が壊れても、その力が世界から失われるだけで貴方自身にも周囲にも悪影響は有りません』 それを聞いて俺は少し安心した。 『最後にワタルが調べたのは恐らく過去の封印についてでしょう。宝石を壊すという前例は有りませんから、見つからなくて当然なんです』 なるほど…そうか。 『それから2点目です。貴方の最愛の女性が貴方と…』 「センヤさん!儀式の準備が整いました!起きて下さい!」 まだ神のお告げは途中だったってーのに、俺は迎えに来た神官の声に唐突に夢を遮断された。 「…ん…」 目を開けるとさっきとは違う神官が俺の顔を覗き込んでいた。 「儀式の場へご案内いたします。黒き宝石を持って着いてきてください」 「あ、ああ」 結局、宝石を壊す為の具体的な方法は知らされないまま、俺は宝石を手に持つと神官の後に続いて部屋を出た。 「こちらです」 見ると儀式の場所には、祭壇が在り聖書が開いて置かれてて、リョウがその前に足踏み台の上に立っている。
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