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「お前は宝石と一緒に封印された筈…?!」
神官が驚いている間に、神官服の上から脇腹を浅く切り裂く。
「ゔゔ…」
神官はあっさりと気を失った。
「もう出て来て大丈夫だ」
俺の声を合図に角からワタルとリョウが姿を見せる。
「今の内に鍵を拝借してしまいましょう」
「応急処置位には傷の手当てもしとくね!」
神官の懐に手を突っ込むワタルと回復魔法の詠唱を始めるリョウ。
「…在りました」
ワタルから鍵を受け取った俺はドアに差し込み鍵を開けた。
ドアを開けると驚いた様子のカスミと目が合う。
「センヤくん…?!」
「よお、カスミ。助けに来たぜ」
俺が中に入るとカスミは抱き着いて来た。
「センヤくん…!良かった…生きててくれて。もう逢えないと思ってたから…」
最後の方は涙声になってる。
俺はカスミの頭を優しく撫でてやると言った。
「詳しい話は後だ。訳あって今は俺達、追われてる身でな。今はここから逃げるぞ」
「?え、ええ」
だが、その時、後ろからリョウの悲鳴が聞こえてきた。
「助けて、タモツー…ッ!」
振り返るとリョウと、ワタルまでもが追っ手の神官達に取り押さえられていた。
「神官長様のご命令だ。全員、一緒に儀式の部屋に戻ってもらうぞ」
俺とカスミに選択肢は無かった…。
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