13人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「それは構いませんが、リョウ神父がどうなされるかですね」
「暇してる様だったら連れて行ってやってくれ。じゃあ、俺も寝る」
「お休みなさい、センヤくん」
そう言われて寝室に入ろうとした時。
『センヤくんの見つけた宝ってまさか…』
再度ワタルの声が聞こえてきた。
「あ?ワタル、何か言ったか?」
「?いいえ、僕は何も言ってませんよ?」
ワタルが嘘をついてる様には見えねー。
「そう、か…。なら、良いんだ。じゃあな」
「あ、はい…」
どこか釈然としない思いはあったが、疲れていた俺はそれ以上ワタルと言葉を交わさずに寝室に入った。
3つ在る内のベッドの1つではリョウが大の字になって寝てる。
俺も空いてるベッドに横になった。
そして懐から遺跡で手に入れた宝石を取り出す。
ワタルが、あの遺跡には不思議な宝石があると、言っていたが…。
「…まさかな」
宝石なんざ遺跡には五万と在る。
再び懐にしまおうとした時、宝石が妖しく光った気がした…。
翌日になっても俺は昨夜感じた違和感を払拭出来なかった。
それどころか、城下町の様子が穏やかじゃねー。
カスミの屋敷に向かって歩いていると。
「その金を寄越せ!」
「おお…それは娘がくれた大切なお金じゃ…」
老人から金を掻っ払う盗人や。
最初のコメントを投稿しよう!