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「いやあ!誰か助けてえー!」
「良いからこっちへ来い!」
白昼堂々女を犯そうとする暴漢があちこちで溢れ返っていた。
「待つんだ!キミ!嫌がっているじゃないか!」
止めに入った野郎がいて感心したのも束の間。
『ここで功績を上げておけば出世出来るかもしれない…!』
野郎の声に(何だ、自分の名誉を高めたいだけか)と俺は怪訝に思った。
何でそんな自分の思惑までわざわざ口に出すのか理解出来なかったからだ。
そんな思いを抱えながらカスミの屋敷に辿り着いた。
と…。
『センヤくん、今頃どうしているかしら。逢いたい…!』
忘れもしねーカスミの声がここまで聞こえてきたのには驚いた。
と同時に嬉しくも思った。
カスミはずっと俺の事を待っていてくれたんだ。
俺の中でカスミに対する愛しさが募る。
と、同時に、ちと驚かせてやろうという悪戯心と、屋敷の人間に見つかったらやばいという身分差から、ロープにロープフックを固定する。
カスミの部屋の窓はもう解っている。
窓枠にロープの先を投げて、フックを引っ掛けて誰にも見られてない事を視認してから、ロープを登り始めた。
コン、コン。
窓を叩く。
少しして中からカスミがコッチを覗き込んだのが見えた。
驚きと感動のせいか、大きな目を更に大きくし、両手で口を抑えている。
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