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その目から涙がこぼれ落ちた。
『センヤくん…?!』
窓は閉まっていたが、カスミの声がハッキリ聞こえた。
喜んでくれるのは嬉しいが、早く窓の鍵を開けてくれ。
俺がニヤリと笑ってみせると、カスミがようやく我に返った様に窓の鍵を開けた。
窓を開けるとカスミが泣きながら俺の頭を抱きしめた。
「センヤくん…!逢いたかった…!」
7年ぶりの再会だった。
俺はカスミの涙をキスで吸い取ると、頭を解放されたところでヒョイと部屋の中に入る。
「俺も逢いたかったぜ、カスミ」
「センヤくん…!」
抱きついてきたカスミの細い身体をドレスの上から抱き締め返す。
俺達は暫くの間、そうしていた。
と、やがてカスミが俺から身体を離す。
「センヤくん、何か硬い物持ってるの?」
カスミの言葉に俺はプレゼントを持って来ていたのを思い出した。
「ああ。そうだ、これ。カスミにお土産だ」
そう言って懐から宝石を取り出す。
「黒い宝石?!でも、綺麗ね…」
「だろ?」
その時、又してもカスミの声が聞こえた。
『センヤくんは私だけの者…』
俺がその声に応えようとした時。
バカデケー爆撃音が耳を劈いたかと思うと、屋敷が大きく揺れた。
「キャアッ?!」
倒れてきた家具の下敷きになりそうになったカスミの腕を咄嗟に強く引く。
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