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家具はカスミのいた所にバッターン!と、埃を立てて倒れた。
俺が引っ張らなければカスミは下敷きになっていただろう。
『敵襲だあー!!』
大勢の連中の声が俺の頭の中に響いた。
俺は舌打ちをすると、宝石を一旦懐にしまい、カスミの軽い身体をお姫様抱っこする。
「センヤくん…?!」
「聞こえなかったか?敵国が攻めてきたらしい。安全な所まで避難するぞ」
俺はそう言うとカスミを抱えたまま窓から飛び降りた。
『怖い…!』
俺の腕の中で身を硬くするカスミ。
俺は「大丈夫だ」と短く言うとスタッと地面に着地した。
外では逃げ惑う連中と戦いを繰り広げる連中とで溢れ返っている。
『どうして、突然こんな事に…?!』
カスミの疑問は俺の疑問でもあった。
訳が解らねーまま、俺はカスミを抱き上げ人で溢れ返る城下町を上手くよけて走り出した。
町の出入り口付近まで走り続けた時、又しても声が聞こえてきた。
『この国を支配して我が国の領地を広げる!』
どうやら国同士の奪い合いの戦いに巻き込まれた様だ。
俺は瓦礫の山と化した陰に隠れると震えているカスミの身体を少しでも安心させる様に抱える腕に力を込めた。
見ると出入り口は敵兵に包囲されている。
俺1人なら何とかなりそうだが、カスミを抱えたままじゃ正直きつい。
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