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『私がセンヤくんの足手纏いになってる…』
「カスミ、バカな事を言うな!」
「えっ?」
「自分が足手纏いだとか何とか言うから…」
「ええっ!?私、そんな事口にしてないわよ?」
…何だって?
俺がカスミの言葉に怪訝に思った時、ワタルとリョウの声が裏通りの方から聞こえてきた。
『センヤくん…カスミさんのお屋敷に向かったと思うのですが無事でしょうか…』
『タモツにもしもの事があったら僕生きていけない…』
俺はカスミを抱えたまま裏通りの方へ足を延ばした。
「センヤくん、どこ行くの?!」
「どこってワタルとリョウの所だ。いざという時の為に合流した方が良いだろ?」
「ワタルくんとリョウくんは、どこにいるの?」
…おかしい。
何かおかしい。
まるでカスミにはワタルとリョウの声が聞こえなかった様だ。
あれだけハッキリと聞こえてきたってーのに…。
まるで俺にしか聞こえてない様な…。
そう思うと昨夜から気になった点が幾つもある。
だが、今は王都から脱出する方が先だ。
裏通りには普段城下町を守る壁が聳え立っているが、敵襲の影響か壁の一部が崩れ落ちている。
人1人なら通れそうだ。
俺はカスミを直ぐ近くに下ろすと、念の為に危険がないか覗いてみた。
「センヤくん!」「タモツー!(喜)」
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