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俺が辿り着いたのは、郊外のショッピングモールだった。
かつては笑顔の買物客で賑わっていたのだろう。
しかし今ではすっかり寂れてしまい、入口に設置されているガラス製の自動ドアも、もはや機能していなかった。
開閉機構が故障してしまったのか、あるいは、電気が停まってしまったのか。
俺がドアの前に立っても、スライドする気配は皆無だった。
それでも問題はない。ガラスが大きく割れているから、そもそも『ドア』の意味がなくなっているのだ。
「……」
今さら気にする必要なんてないだろうが、一応はガラスのギザギザで体を傷つけないよう、残骸であるドア枠をゆっくりと跨いで……。
俺は店内へ入っていった。
モールの外から中へ。
世界が変わる瞬間、首を回して、追跡者の存在を確認する。
今のところ、誰の姿も見えない。
追ってくる奴らも。
そして当然、仲間の姿も。
そう、もう俺には仲間なんて残っていない。
俺一人になってしまった
みんな奴らにやられてしまったのだ!
こんな環境になる前は、むしろ俺は孤独を好むタイプだったが……。
今では奇妙な仲間意識を感じていた。本能的なレベルで。
そう、本能的な欲求だ。「仲間の仇を取りたい」という気持ちも絡んで「奴らに立ち向かいたい」という衝動がある。
しかし……。
冷静に考えれば、俺は逃げるだけで精一杯だった。
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