SNS既読無視パニック症候群

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私の名前は斎藤(さいとう)弥生(やよい)、14歳。 私は病気で――病名は「SNS既読無視パニック症候群」。 所謂(いわゆる)、誰かにチャットツールなどで文を送り、それが直ぐに既読にならないと不安になってしまう病気だ。 しかも私の場合は、それがかなり重症の部類に入っているらしい。 1分。 1分以内に既読がつかないと、胃が空になるまで吐き倒してしまうのである。 それ程までに私はSNSに依存し、日々の生活を送っていた。 私の様子を心配した親は、幾つもの精神病院に連れて行ってくれたけれど、基本的には合わない薬を大量に出されるか、スマホ断ちを勧められるだけで、あまり効果的な治療を受けられていない。 (それに、1分既読がつかないだけでこうなるんだから……今スマホを断ったら、私、死んじゃうかもしれないよね) そんなことを考えながら、私はSNSの既読をチェックする。 (あ、良かった。既読ついてる) ――でも、今回は見てくれるまで1分キッチリかかったな。 私はSNSの既読表示を見つめながら、既読になるまでにかかった時間を頭の中で反芻(はんすう)する。 ……本当は、自分でもよくわかっている。 このままじゃ、良くない――明らかに異常だって。 でも、SNSでメッセージを送り、それが早く既読にならないと不安で不安で仕方ないのだ。
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