14人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
そんなある日のこと。
「ね、弥生?実は私さ、親からスマホ使うの暫く禁止されちゃったんだよね。だから、手紙でやり取りしてみない?」
お昼休みに、幼稚園からずっと一緒で私の1番の親友である恵子がそんな提案をしてくる。
「え、手紙?」
――正直、私は「そんなの絶対に嫌だ」と言いたかった。
(だって、手紙は直ぐに返事が来ないじゃない。私は、直ぐに返事が貰えないと不安になるのよ)
でも――。
「へー、手紙ね。面白そう」
「いいじゃん!素敵だね、手紙!」
口々にそういう、同じグループの友人達。
皆、普段はあれだけSNSやスマホに頼っているというのに――何故か手紙という極めて原始的な方法に対して好意的なのだ。
(こんなムードの中で「嫌だ」なんて言ったら、ハブられるに決まってる)
それだけは絶対に嫌だ。
だから、私は嫌な気持ちを必死に押し殺し、皆と同じ様な好意的な笑顔を作って言った。
「うん!いいと思う!やってみよう、手紙でのやり取り!」
最初のコメントを投稿しよう!