SNS既読無視パニック症候群

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そんなある日のこと。 「ね、弥生?実は私さ、親からスマホ使うの(しばら)く禁止されちゃったんだよね。だから、手紙でやり取りしてみない?」 お昼休みに、幼稚園からずっと一緒で私の1番の親友である恵子(けいこ)がそんな提案をしてくる。 「え、手紙?」 ――正直、私は「そんなの絶対に嫌だ」と言いたかった。 (だって、手紙は直ぐに返事が来ないじゃない。私は、直ぐに返事が貰えないと不安になるのよ) でも――。 「へー、手紙ね。面白そう」 「いいじゃん!素敵だね、手紙!」 口々にそういう、同じグループの友人達。 皆、普段はあれだけSNSやスマホに頼っているというのに――何故か手紙という極めて原始的な方法に対して好意的なのだ。 (こんなムードの中で「嫌だ」なんて言ったら、ハブられるに決まってる) それだけは絶対に嫌だ。 だから、私は嫌な気持ちを必死に押し殺し、皆と同じ様な好意的な笑顔を作って言った。 「うん!いいと思う!やってみよう、手紙でのやり取り!」
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