SNS既読無視パニック症候群

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すると、その日の5時間目の授業中。 早速、恵子から1通目の手紙が届けられた。 隣の机のクラスメイトを経由して渡されたそれは、普段恵子が使用しているノートの端を千切(ちぎ)って書かれたものらしい。 親友が急拵(きゅうごしら)えで――思いつきだけで書いたのが良くわかる手紙だ。 ノートの切れ端を、先生にバレない様小さく丸めた状態で届けられた1通目の手紙。 と、その回って来た手紙を開けようとした瞬間、私はふとあることに気づく。 それは――。 (あれ……?この手紙……ノートの切れ端にしたら、少し重くない……?) そう、ノートの切れ端を丸めただけの手紙しては、ほんの少しだけ重いのだ。 (まさか、切れ端が幾つも(たた)んで入ってるとか……?) 私は首を傾げながらも、丸められたノートの切れ端をそっと開いてみる。 すると、そこには――。 「わ、可愛い……!」 恵子が手紙に忍ばせたのであろう、透明のフィルムに包まれた――美しい桜色のキャンディが1粒、ころんと同封されていた。 嬉しい気持ちを抑えられず、思わず恵子に視線を送る私。 すると、恵子は笑顔で手を振りながら、自分のノートを指差す仕草を見せる。 (切れ端を読めって言いたいのかな……?) 何となく恵子の言いたいことを理解した私は、貰った手紙に目を落とした。 そこに書かれていたのは――。 “弥生、大好きだよ!改めて、これからもよろしくね!” という、言葉だった。 なぜだろう……普段からよく聞いている、何のことない言葉の筈なのに、何だかとても嬉しい。 私は、SNSで既読がついた時やいいね!を貰った時とは違う胸の高まりを感じていた。
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