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その日から、こまめに手紙でやり取りをする様になった私と恵子。
恵子からの手紙はいつも変わっていて、ある日は綺麗な鶴の形に折られていたり、またある時は暗号文の様に書かれたりしていた。
と、そんなある時――私は放課後、恵子から買い物に誘われる。
恵子曰く、
「行き先は秘密のミステリーツアー方式だよ!」
だ、そうだ。
でも、この裏表のない朗らかな親友のことだ。
きっと悪いことにはならないだろう。
(寧ろ、恵子だし……どんな楽しい場所に連れて行ってくれるんだろう)
そう期待に胸を膨らませると、二つ返事で恵子にOKを出す私。
そうして、恵子に連れられて私が辿り着いたのは――大きな文房具店だった。
「実はここさー?色々面白い便箋や封筒とか、手紙のグッズがたくさん売ってるんだぜー?」
楽しそうに笑いながら、恵子はそう告げる。
「へぇ、そうなんだ……」
私はちょっと拍子抜けしながらも――恵子がまだ手紙でのやり取りを続ける気なのかとほんの少しだけ落胆していた。
(確かに手紙は楽しいけれど……)
でも、SNSほど早くはない。
私にとって、待つ時間は苦痛なのだ。
けれど、そんな私の心境を知ってか知らずか――恵子は私の手を引くと、ずんずんと文房具店の中へと入っていった。
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