あんこ〜る

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「え!? またあんこ~るされた!」  目が覚めると、お昼を過ぎていた。  そしてその通知を見た瞬間に、一気に頭が冴え、興奮状態になる。  二回あんこ~るされたということは……私はもう一度アプリの説明が載ったガイドラインを読んだ。 『二回あんこ~るされた場合は、直接連絡を取り合うことができます。尚、最初の連絡は楽曲制作者から行うものとします』  そう書かれている。  私は待っていればいいということか……。  こっちからメッセージを送れないなんて、もどかしくて仕方ない。  しかもまだ通知は来ず。  あんこ~るボタンを押したなら、そのままの流れでメッセージも送るのが普通じゃない?  私は一気に不安になって、憂鬱になった。 「六花! お昼作ったから食べなさい!」  一階から飛んでくるお母さんの声。  お腹は空いていないけど……気分を変えるために食べよう。  食卓には豆乳担々うどんが並び、ちょっとテンションが上がった。  スルスル胃に入っていく。  あんまり食欲がなかったけど、お母さんが作る豆乳担々うどんは大好きだ。  ものの五分で完食し、顔を洗いに洗面台まで行った。  歯磨きもして、再び部屋に戻る。  二階に上がる前にお母さんが「今日は歌わないの?」と聞いてきたけど、「どうだろー」と適当に流して答えた。  深い溜息をついて、ベッドに横たわる。  何気なくスマホを見ると、通知が届いていた。 「あ! 来た!」  メッセージの中身を開く。  やっぱり、サイリさんからだった。 『素晴らしい歌声をありがとうございます。今度一緒にレコーディングしましょう。昨日作り終えたばかりの新曲です』  音源と一緒に二通目も届いていた。 『できればでいいですが……この曲のレコーディング、一緒にしませんか?』  もちろんもちろんと、声にする私。  あからさまに高揚している。  素早く『こちらこそよろしくお願いします。新曲、きちんと歌えるように仕上げます』と返信した。  心臓の高鳴りが止まらない。  そこから何ラリーかサイリさんとメッセージのやり取りをして、実際に会うことになった。
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