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「美香!」
ガバッと身を起こすと、そこは俺のベッドの上だった。
目覚まし時計を見ると、5時20分。外からは蝉の鳴き声がうるさいほど聞こえてくる。朝から元気な奴らだ。
「……夏休みだ。夢、か」
定期テストはとっくの昔に終わったんだった。もちろん、課題は全教科しっかりと出した。
そもそも、午後からテストってなんだよ。テストは午前だけで午後は休みだろ。父さんは平日には仕事があるし。
昨日眠りについた時には日付は余裕で変わっていて、確か2時とかそのくらい。3時間は寝たのか。
ボケっとした頭に、今日の予定が浮かんだ。
「美香と、初デート……」
待ち合わせは、10時に学校の最寄りの駅前で。まだまだ余裕で時間がある。
ポリポリと頭を掻く。手に当たる髪の感触で、寝癖だらけであると分かった。
「髪濡らそ……」
枕元に置いていたスマートフォンを片手にゆらりと立ち上がって、階段を降りる。
まったく、ひどい夢だった。デートが楽しみでなかなか寝つけなかったからだろうか。
終業式の日に勇気を出して誘って、なんとかデートの約束にこぎつけたんだ。寝れなくてもしかたないだろ。
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