やらかしパニック

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 夢ではないと悟った途端、焦りがむくむくと湧きあがった。混乱した頭は今からどうすればいいかを考えてくれないのに、とりあえず動いていないと落ち着かない。  歯ブラシを手に取り、歯磨き粉をつけて口に入れる。磨きながら洗面所の電気を消して、昨日悩んだ末に決めた服を手に取る。着ようとするも、歯を磨きながらでは難しいかと床に放り出した。  歯ブラシを咥えたままスマートフォンを手に取り、何か美香に送信しようと考えるも、言葉が一文字も思い浮かばない。  慌てふためいておたおたしているうちに、歯磨き粉を含んだ唾液が喉に逆流してきて、スマートフォンを握ったまま洗面所に走った。  うがいをしているとスマートフォンの通知が鳴った。焦りと驚きのせいで、スマートフォンが手から転がり落ちた。  口の中の水を吐き出してスマートフォンを拾い上げ、メッセージを確認する。 『ごめん、帰るね』  やばいやばいやばいやばい!  メッセージアプリを開く。先ほどまでは混乱して言葉が思い浮かばなかったのに、急に溢れ出してきた。 『ほんっとうにごめん、さっき起きました』 『ずっと待たせててごめん』 『心配してくれてありがとう』 『俺が誘ったのにすみませんでした』 『気をつけて帰ってください。今度お詫びをさせてください』 『ごめん』  取り繕うこともせず、謝り倒す。心の中では土下座をしている。  メッセージに、既読がついた。
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