きみと私の降伏論

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きみと私の降伏論

一体、いつ眠りに落ちたのか自分のことが分からなかった。 見慣れないベッドと、ぐちゃぐちゃに乱されたシーツ。当然のように裸の私は腰が重くて、未だに少しの残留感を感じて、体を小さく動かすのさえつらい。けほ、と小さな咳が出た。喉が痛かった。 ぼんやりとする頭を何とか動かして、ベッドにある時計を見た。9時だ。 「(……そういえば、お風呂入ってないや……)」 響先輩はどうしたのだろう、と、私に背を向けて眠る人を見遣る。どうするもなにも、きっと私が寝落ちしたことを知って、一人で入ったに違いない。 気付かれないようにそっとベッドから抜け出そうとすれば、腕を取られた。当然響先輩だ。 「……どこ行くの」 前回、響先輩が先に起きていたから、彼の寝起きを見るのは初めてだ。案外寝起きが悪い方らしく、声も掠れている。 「ぉ…………、お風呂に……ん、あれ、なんで……」 私だって、いつもの様に声が出ない。出そうとしてもガラガラに掠れていて、響先輩よりも重症だ。 なんで?と不思議に思っていると、響先輩がペットボトルの飲料水をくれたので、有難く頂戴する。渇いた根が潤うと、随分楽になった。
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