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響先輩はベッドの上に脱力する。脱力した際に再び腕を掴まれた。何故だ。
「いま何時?」
まさかこのまま寝るつもりなのかと不安になっていたので、一応安心する。
「9時です」
「9時か、」
「響先輩、お風呂入りましたか?」
「うーん……」
「( どっちだろ)」
答えを求めたのに、謎を呼ぶ。
「私、お風呂いきたいです」
「んー……」
手を緩めてもらうので、OKと受け取りお風呂に向かった。
「(広いなあ)」
お風呂だけで、六畳程度ありそうだ。こんなに広くてどうするんだと思ってしまう。
湯船にお湯を溜める間にぼろぼろのメイクを落として、シャワーで流した。身体中のあちこちに紅い斑点や歯型が残されていた。他人に見られることは無いけれど、自分で見る度に、響先輩の痕が熱を孕んで疼く。
髪の毛を洗い、緩い三つ編みをお団子にしてまとめるころ、湯船にはしっかり溜まっていたので蛇口をひねる。
「きもちい……」
もうもうと湯気が立ち込める室内に、私だけの声が響く。
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