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「(ち、かい……!)」
ぴたりと密着する肌と肌は纏うお湯よりもずっと熱い。
正常な思考回路でこの近さは色々良くない。黙っていれば、もっと悪い方向に向かうと思うのは何故だろう。
「……な、何もしないんですね」
「信用無いねえ」
「(あるわけが無い)」
広い湯船だけど、二人で入るとさすがに狭く、膝同士がこつんとぶつかる。二人分の膝。見た限り、細さが変わらないのだけど、見間違いだろうか。
「響先輩、細いですね」
「男に細いは褒め言葉じゃないよ」
「!?ひゃうっ、」
お気に召さなかったのか、予告無くお腹を摘まれてしまうから、どうすれば良いのか分からず両手をぎゅっと握りしめた。これはなんの仕置なのか。
「にーなちゃん、彼氏いるの?」
「……その質問、いま聞きますか?」
「悠來に気があるのは知ってるけど、彼氏は知らないから」
どうやら、興味本位みたいだ。お腹の前で組まれた指は、言うまで離さないという意思表示と受け取る。
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