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焼き鳥に手を伸ばす。謎に花弁の散らされた鶏皮は既にぬるくなっていた。皮になっても綺麗に飾られる鶏は果たして幸せなのか。
実を取りやすいように箸で寄せて食べた。美味しい。裸になった串を串入れに入れた。
こうやって、簡単に誰かに食べられて、すぐにでも捨てたいものが私にはある。
さらけ出した自分を受け入れてくれるとなお良い。
“お酒はこころの特効薬”
そう書かれたジョッキを両手で抱えた。甘ったるい炭酸がゆるく爆ぜる。
笑い声が聞こえた。この飲み会の主催者、一軍男子たちの方だった。
御園さんの方が圧倒的に気の毒だと思う。何が嬉しくて、こんなふうに、彼女にとって村人A、Bたちから哀れみの目を向けられなくてはならないのか。
いや、これは一種の禊かもしれない。
黙って彼らに手を出せば、知らぬ所で酒のつまみにされるぞ、と、私に知らせているのだ。きっと。
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