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この場は狩猟場、あるいは処刑場。
一度、定期的に開催されるこの飲み会を断ったことがある。しかしそれ以降全く声が掛からず、さらには一定期間ハブられた経験もある。かと言って率先して参加すると、男漁り?と揶揄される。
だから、何もしない方が良いと考えた。
この無意味な二時間は大学の延長線上にあって、必修科目のように履修すべきだと心得ている。
「悠來先輩と言えば、こないだ悠來先輩に、仁菜のこと聞かれたよ」
友人の言葉が開始の合図となって、ジャキ……と、銃口が一斉にこちらへ向けられた気がした。固唾を飲む。悲しいかな、上手に飲み込めない。
「……え、私?」
とりあえず面食らって、驚いてみた。これは隠そうとしたわけではなくて、本心だ。
友人は私の目の前で笑顔を浮かべる。ぷちんと枝豆が逃げる。
「どうする、狙われてるんじゃないの」
「まさか、悠來先輩だよ?私とは釣り合わないって」
「仁菜それ本気で言ってる?仁菜が駄目なら、大抵の女子駄目だからね」
はは、と苦笑いを浮かべていると、友人の笑顔が、裏の読み取れるそれに変わる。
「悠來先輩と一回だけでも寝れたら、どうする?」
……困ってしまう。
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