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【1】
「愛、来月誕生日だろ? その前か後の土曜日空いてる?」
わたしが生まれる前からお隣に住んでる遼くんに訊かれて答える。
「土曜は学校あるけど午前中だけだから、午後はいつも空いてる。でも、用あっても遼くんに会うなら空けるよ〜」
部活帰りのわたしと仕事帰りらしい彼がマンション入り口で偶然会ったんだ。
「……じゃあさ、夕飯食いに行かないか? 当日は家族でお祝いするだろうから。前もって言っておけば、夜でもお母さんやお父さんも大丈夫だよな?」
「うん、もう高校生だもん。黙って遅くなったらそりゃやばいけど、連絡さえしとけば全然平気!」
毎年、遼くんはわたしの誕生日を祝ってくれてた。もちろんわたしも彼を祝うよ。内容は全然釣り合ってないけどね。
ほとんどは何かプレゼント。その時の流行りだったり、欲しいもの訊かれたり。
でも去年の十五歳の誕生日は、二人でお昼ごはん食べに行ったんだ。わたしのリクエストで。
でも夕ごはんなんて行ったことない。遼くんだけじゃなくて友達とも、家族以外とは。
お昼じゃないのは高校生になったから?
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