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桑の実
今年も道端の桑の実がたくさん実を付けた。一見木苺にちょっと似ているが、よくよく見てみるとなかなかにグロテスクな見た目をしている。小さい粒がでたらめに密集していて、そのひとつひとつから緑色の細い茎(?)のようなものが毛のごとく飛び出している。その様相は私の大嫌いな虫を思い出させる。桑の実には大変に申し訳ないのだが、正直ちょっと気持ちが悪いなぁと思ってしまう。
しかし、小学生時代の私はこれを好んで食べていた。家の畑に生えた木からカゴいっぱいに桑の実を摘んできてそのまま食べた。桑の実を教えてくれたのはお婆ちゃんだった。甘酸っぱくてプチプチとした桑の実を食べると小学生ながら初夏を感じたものだ。他にもナツメの実とかびわの実とか、ヤマブドウとか、敷地内にあるものは好んで食べた。(ヤマブドウはその辺に生えていた)千葉の田舎にはいたるところにびわの実が生っているが、他の県ではどうなのだろう?
とにかく私はたくさん桑の実を食べていた。桑の実に特別な思い入れがあったわけでもなければそこまで美味しいと感じたこともなかったのだが、何故あそこまでたくさん食べたのだろう。食べすぎて下痢になったほどだ。戸棚の中にはお菓子が入っていたし、例え入っていなかったとしても駄菓子屋やスーパー、コンビニが近所にあったのだから、他に食べるおやつがなかったわけでもない。お小遣いだって頼めば爺ちゃん婆ちゃんから貰えたはずなのだ。
本当に不思議だ。今となっては桑の実を食べたいとは思わないのに、何故小学生の私はあんなにも夢中になったのか。また食べてみれば思い出せるだろうか。散歩をしていると赤黒く色付いている桑の実(どどめ色ってやつか)についつい熱い視線を注いでしまうことがある。小学生の私が目覚めようとしているのかもしれない。
軽く調べてみると桑の実はジャムにして炭酸割りにしたり、お酒にしたりして飲まれているそうで、ちょっと興味がわいた。中にはタルトやマフィンにしている人もいて、見た目は若干グロテスクではあるものの、ちょっとたべてみたいなあと思った。
誰か、作ってくれないかな〜。
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