4月⑭

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「樹理亜さん、ごめんね。」 指を動かしながらあたしを見下ろす郁哉。 快楽に呑まれそうになりながらも、次の言葉を待つと、 「ホントは俺がいちばん樹理亜さんのこの格好に興奮してんの。」 その言葉通り郁哉の瞳は熱を帯びているし、吐息も熱くて荒い。 そんな郁哉の頬に手を伸ばすと、郁哉はその手を取り掌にチュッと音を立てて口付けた。 そういう仕草もたまらなく好きで愛おしくて、胸の奥がキュッとなる。 「…俺もう無理かも。挿れていい?」 「…ん…。」 指を抜き服を着たまま避妊具を付け、あたしの中に埋めた郁哉。 それを受け入れれば、言葉にならないような快楽が押し寄せる。 そして、絶え間なく与えられる熱に何も考えられなくなって蕩けていく。 郁哉に言われた通り、制服姿のせいか本当にいけないことをしている気分になる。郁哉も郁哉で、珍しく服を着たまま行為に及んでいるから余計に。 結局、あたしも郁哉と同じなんだなって、頭の片隅で思いながら、あたしは郁哉との行為にそのまま溺れた。
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