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「今、案内するから待合室で待ってて。」
「あぁ。サンキュ。」
常盤くんはカウンターから退き、待合室のベンチに腰を下ろした。
その姿は、高校時代と変わらず人目を惹くビジュアルと存在感。そして、スーツ姿もとてもよく似合う。
「ねぇ金沢。あの彼、知り合いなの?」
校長に声を掛けに行こうと立ち上がろうとした時、隣の紗季さんが常盤くんに視線を向けながらこそっと耳元で尋ねる。
「高校時代の同級生です。」
「へぇ。高校の同級生…。なかなかのイケメンじゃない。」
「紗季さんてばまたそういう話ですか?あたし、校長のところ行って来ますね。」
常盤くんを眺めている紗季さんを横目で見ながら、あたしは立ち上がって校長のところへ行き、面接希望者が来た旨を伝えに行った。
相変わらず、紗季さんは見るところが違うよなぁ。
郁哉がここに通い始めた頃を思い出しちゃう。
あの時なんて、「高校生も全然アリ」とか言ってたし。
半年前のことを思い出しながら、校長の指示ですぐ常盤くんを呼びに行き、応接室へと案内する。
「なんか、金沢雰囲気変わったな。一瞬わかんなかったし。」
「そう?」
「ん。いい女なった。」
あたしの一歩後ろをついてくる常盤くんにそんなことを言われて。
「またまたぁ、すぐそうやってからかうんだから〜」
どこまで本気で言ってるのかは分からないけど、ノリでそういう冗談をよく言う人だったから、あたしもそれに乗ればいいんだろうなと思って、笑って受け流した。
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