4月⑮

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“あたし彼氏いるから” …そう言おうとした瞬間。 「なぁ。もしかして、さっきから俺話題になってる?」 背後から聞こえてきたその声に、思わず振り返る。 振り返った先。 そこには今話題にしていた人物である常盤くんがいて驚いた。 「女子だけ固まってなんの話してるのかと思って来てみたら、俺の名前聞こえてくるからすげー気になるんだけど。」 八重歯を見せ無邪気な笑顔を見せる常盤くん。 きっと、高校時代常盤くんを囲んでいた女子は、この笑顔にきっとときめくだろう。 「そうそう。常盤くんの話、してたんだよ。」 そう言ってあたしの隣にいた美久は常盤くんに「ここ座って」と、スペースを空けると、常盤くんはさっきまで飲んでいたビールジョッキを片手に促されるままあたしと美久の間に腰を下ろした。 「俺の話って、どうせ悪口だろ。」 常盤くんはケラケラ笑いながらビールジョッキに口を付ける。 「まさか!常盤くんがこのメンバー集めた理由について語ってたところ。絶対樹理亜が楽しめるメンバー集めたよね〜って話なってたんだけど、実際どう?」 首を傾げ、常盤くんの反応を窺うように尋ねる美久。 「ちょっと美久!余計なこと言わないでよ!」 なんでそんなこと常盤くんに言うかな。 この飲み会がまるであたしのためのものみたいな言い方、やめて欲しい。 一瞬、目を丸くした常盤くんだったけど、直後クスッと笑った。
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