4月⑮

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「ていうか、常盤くんは樹理亜に彼氏いるって知ってる?」 ゴクゴクとビールを飲んでいる常盤くんの姿を眺めながら、美久は更に質問を続けた。 「知ってるよ。俺、会ったことあるし。」 さらっとそう言った後、あたしの方を向いて「な?」と、同意を求める常盤くん。 「へ、あ、あぁ…、うん…。」 動揺している最中に、急に話を振られて変に声が裏返る。 ていうか、常盤くんはいろんなことを全てさらりと言ってのけて平然としているけど、全部本気? 「彼氏いても、構わないってこと?」 常盤くんの発言に驚きを隠せないのは美久も同じで、首を傾げながら美久が尋ねた。 「彼氏いても好きになるのは自由じゃん?この先、その彼氏とどうなるか分かんないし。」 …つまり、“この先別れる可能性もあるから自分にもチャンスはある”と、言いたいのだろうか。 その自信、どこからくる? しかも、それって別れること前提みたいで、なんだかある意味ひどいけど。 でも。だけど。 そんなふうに思ってしまうくらい、常盤くんはあたしを好きなの?
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