4月⑮

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「まぁ、そういうわけだから、金沢よろしくな。」 そう言って、爽やかな笑顔を見せた常盤くん。 よろしくって言われても…。 なんて返していいか分からず、あたしは黙り込む。 こういう時、「気持ちには応えられない」とハッキリ言うべき? みんないるし、常盤くんに嫌な思いさせてしまわない? でも、中途半端な態度で接して、期待持たれるのもそれはそれで困る。 「あの、常盤くん…、あたし…、」 みんなあたしがなんて答えるのか注目している中、意を決して常盤くんの方を向く。 「金沢、返事今するとかナシな。」 まるであたしがこれから何を言おうとしているか分かっているみたいな言い方をして、常盤くんは片方の手のひらをあたしに向け、あたしの発言を阻止した。 「今、金沢の返事聞いたってゴメンナサイしかないだろうし。要は、少しは俺のこと意識して欲しいってことだよ。」 「……、」 「もっと俺のこと知ってから返事してくんね?」 「や、でも…、」 「頼むから。」 「…──わかった…。」 常盤くんに期待を持たせることの方が悪い気がするからあたし的には嫌だったけど、そう答えるしかなくて、罪悪感ばかりが募った。
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